協同組合の種類について~農協、漁協、生協、事業協同組合~

我が国では、協同組合の種類ごとに農業協同組合法、水産業協同組合法、消費生活協同組合法、中小企業等協同組合法の4種類の協同組合法があり、各協同組合の根拠法と所轄官庁は以下の通りとなっています。

NO 協同組合名 根拠法 根拠法の所管庁
1 ~農業協同組合(JA) 農業協同組合法 農林水産省
2 ~漁業協同組合(JF) 水産業協同組合法 農林水産省
3 ~生活協同組合(CO・OP) 消費生活協同組合法 厚生労働省
4 ~事業協同組合 中小企業等協同組合法 経済産業省

それそれの協同組合ごとに根拠法と所轄官庁が違うので、設立趣旨や社会における位置づけが大きく異なりますが、相互扶助の精神に基づき、組合員のために事業を行うという点では一致しています。

1.農業協同組合(JA) 農業協同組合法に基づいて設立されています。農林水産省の管轄です。相互扶助(たすけあい)の精神のもと、農家の営農と生活を守り高め、よりよい社会を築くことを目的に設立された協同組合です。JAの略称で呼ばれています。組合員資格には農業を営む正会員と、農業を営まないが農協の事業をりようする准組合員の2つがあります。本来は経済事業(販売・購買・指導)が「1丁目1番地」の事業ですが、近年では信用事業(JAバンク)・共済事業(JA共済)で大きな実績を残しています。

2.漁業協同組合(JF) 水産業協同組合法に基づいて設立され、農林水産業が管轄しています。漁業者の協同組織として、販売事業・共同購買事業等の経済事業や共済事業を通じた水産業の振興及び組合員の福利厚生、漁業権の管理を中心とした水産資源や漁場の管理、水産業を通じた漁場地域の活性化などの広範な役割を果たしています。

3.生活協同組合(CO・OP) 消費生活協同組合法に基づいて設立されました。厚生労働省が管轄しています。消費者一人一人がお金(出資金)を出し合い組合員となり、協同で運営・利用する組織です。自立した市民の協同の力で生活の安定と生活文化の向上を図り、人間らしい暮らしの創造と持続可能な社会の実現を目指しています。

4.事業協同組合 中小企業等協同組合法に基づいて設立されています。経済産業省の管轄です。中小企業の事業者が互いに協力し、相互扶助の精神に基づいて共同で事業を行い、経営の合理化や経済的地位の向上を図ることを目的に設立されます。4人以上集まれば設立でき、気心のあう事業者同士で比較的簡単に設立出来るので、最も普及している組合と言えるでしょう。最近では外国人技能実習の監理団体設立のために事業協同組合が多数設立されています。資本主義・自由主義社会における行き過ぎた競争、貧富の差の拡大に対する警鐘・対抗手段として、世界的に協同組合の価値が見直されています。営利目的ではなく、皆で助け合って価値ある何かを成し遂げて行こうという事業協同組合の取組みは、今後ますます大きな役割を果たすものと思われます。

協同組合基本法設立への期待 現在日本には、協同組合に関しては職種別の法律しかありません(上記一覧表を参照)。それぞれの管轄官庁から個別に指導を受けている各協同組合は、職種別間における横のつながりが極めて弱いのが現状であり、このことが協同組合としてのアイデンティティーを阻害してきた事実は否定出来ません。協同組合基本法を設立して行政の縦割りによる弊害を改善し、我が国における協同組合の窓口を一本化することが早急に求められています。本基本法の設立は、協同組合を通じて、国連が提唱しているSDGs(持続可能な開発目標)などの国際的な公共政策を進める上でも必要不可欠だと思います。